綾部市街地から南東、由良川沿いに正暦寺という真言宗の古寺がある。 綾部市街地から南東、由良川沿いに正暦寺という真言宗の古寺がある。
境内敷地は広く、多数のお堂や庭園、墓地や宿泊施設まである。
写真はJRの線路のある東側からの眺め。周辺の斜面には桜が植わり、春は大変美しい。
創建は天慶5年（942年）、空也上人がこの地を訪れ、自ら聖観世音菩薩を彫り安置したのが始まりである。
正暦2年（991年）、近くの山頂にあった寺を現在地に移転し七堂伽藍が整備される。その年の夏、日照りが続く中聖楽上人が雨乞い祈願を行い、雨が降る。その功績によって時の一条天皇から寺号に年号を用いることを勅許され正暦寺となる。その後も平清盛や歴代の綾部藩主九鬼氏に庇護され隆盛を誇った。
鎌倉時代の絹本著色仏涅槃図が重要文化財、鎌倉時代の木造千手観音立像が綾部市指定文化財に指定されている。
庭園も幾つかあり、本堂背後の枯山水庭園は京都府指定名勝に指定されている。
観光寺院では無く、声を掛けると気さくに由来の説明や庭園の鑑賞をさせてもらえる。拝観料も特に無いという。
このお寺はもう6回くらい訪れているが、いつ来ても何らかの花が咲いており気持ちが良い。
真夏の盛りには山門（鐘楼門）両側に大きなサルスベリが勢いよく花をつける。春は桜、ツツジ、フジ、夏からはサルスベリや彼岸花、萩、紅葉などが美しい。ケヤキの古木など千年以上の歴史を感じる。
9月に最盛期を迎える萩は2千株以上あり、地元では萩の寺として親しまれており、萩まつりも行われる。
以前から宿坊や様々な体験メニューも取り組まれているが、昨年（令和3年、2021年）世界初の寺院オーベルジュがグランドオープンした。綾部名産の地鶏の黒峰シャモを1羽まるごと使ったフルコースが提供され、体験も写経やお勤めはむろん、座禅や寺院楽器、御朱印作りや護摩焚きなどもできる。この宿坊オーベルジュに関しては機会があれば稿を改めて紹介したい。
高台にあるため見晴らしが良く、不動堂横からは由良川や新綾部大橋が眺められる。
一般にはほとんど知られていないお寺であるが、ドライブのついでに立ち寄って癒やしのひとときを感じていただきたい。
所在地：綾部市寺町堂ノ前45
交通アクセス
京都縦貫自動車道（丹波綾部道路）「綾部安国寺IC」「京丹波わちIC」からそれぞれ車で10分
舞鶴若狭自動車道「綾部IC」から車で10分
JR 山陰本線、舞鶴線「綾部」から徒歩30分、タクシー5分
※駐車場あり、境内自由