江戸時代に呉服商として創業した、ツカキグループという企業グループがある。さて、四条烏丸から少し下がったところにあるツカキビル。 江戸時代に呉服商として創業した、ツカキグループという企業グループがある。さて、四条烏丸から少し下がったところにあるツカキビル。
ここに非常に興味深い美術館がある。西陣織あさぎ美術館という。
その名の通り、西陣織を主題とした美術館だが、その伝統に培われた高度な技法を世界の著名な芸術や現代アートに落とし込みながら楽しめるようになっている。
エレベーターで7階に上がると、金襴豪華な琳派の紅白梅図が目に飛び込んでくる。これも西陣織で迫力がある。常設展の他、年に2回ほど企画展示が変わるようだ。
受付を済ますと、タブレット端末が渡され各展示の解説や説明を動画で見ることが出来る。何よりうれしいのは、写真撮影全てOKという気前の良さである。
西陣織の歴史や絹織物の特徴など学習コーナーがあり、そこをを過ぎると仏教芸術、琳派、狩野派、浮世絵などが展示されている。
精密な模様や陰影、筆致など織物とは思えない再現性に圧倒される。
モネやルノワール、ゴッホ、セザンヌなど印象派を中心とした作品もあり、印象派の微細なグラデーションが先染めの糸を織ることでよくもここまで再現出来るものだと感動することしきりである。
この部屋は蓄光ルームと呼ばれ、朝、昼、夜と時間の経過で絵（西陣織）の表情が変わる。
これは微細な蓄光糸を織り込むことで夜の暗闇に絵が光り、全く違う印象に変わるもの。いろんなアートや表現に応用できそうだ。
現代的なアート表現やドレスなどの服飾もある。オーディオチェアに座ると映像に合わせて西陣織の工程や製法が理解できる。
大変な費用が掛かっている展示だが、伝統産業である西陣織を未来に継承しようという想いのようなものが伝わってくる。
最後の部屋は、西陣織で造られた鮮やかな屏風や灯籠、ベンチ等が配されて好きな背景で記念撮影が出来る。終点はミュージアムショップになっており、西陣織のグッズや端布などが売られている。
公営美術館や貴重な文化財を扱う美術館は様々な制約がありどうしても退屈な展示が多いが、ここは民間企業ならではの自由な発想で生きた美術館を体現している。これで500円ははっきり言って安い。美術館にあまり行かない人も、ここなら楽しみながらアートに親しめること請け合いである。
所在地：下京区烏丸通仏光寺上ル二帖半敷町661 ツカキスクエア7F
交通アクセス
地下鉄 烏丸線「四条」から徒歩1分
阪急電鉄 京都本線「烏丸」から徒歩3分
市バス、京都バス、京阪バス 系統多数「四条烏丸」から徒歩1〜4分
※入館料：大人500円 休館日：月曜（祝日の場合は翌日振替）、年末年始、お盆期間