山科の南部に小野郷という地域がある。小野妹子や小野小町をはじめとした小野氏の本拠である。そこに随心院という真言宗の門跡寺院がある。 山科の南部に小野郷という地域がある。小野妹子や小野小町をはじめとした小野氏の本拠である。そこに随心院という真言宗の門跡寺院がある。
平安時代中期の正暦2年（991年）に空海から八台目の弟子である仁海僧正が創建した。
写真は春の満開の桜越しに望む薬医門。
長屋門を入り、玄関前の庭に小野小町の歌碑が置かれている。
広い境内は全域に植栽や庭園が施され、国指定の史跡。どこを歩いても癒やしの空間だ。
歴代の天皇や皇族が入寺し、寺領も多く隆盛を誇ったが、鎌倉時代の承久の乱、室町時代の応仁の乱の兵火で焼失した。現在の建物の多くはそれ以後の再建であるが、仏像や曼荼羅など多くの重要文化財を有する。
庫裏から入り、玄関から表書院に足を進める。小野小町を描いた衝立や狩野派の襖絵、杉戸絵など新旧様々な芸術を鑑賞しながら歩く。書院の能の間には極彩色の襖絵があり、目を奪われる。
極彩色梅匂小町絵図といい、小野小町の生涯が四面に描かれている。2009年に京都の絵師グループが奉納したもの。
庭園は多数あり、書院前の一面の苔庭、本堂奥の池泉鑑賞式庭園、巨大なシャクナゲの中庭など見所は尽きない。
掲載した写真は奥書院と小町堂の間の広い庭。水の流れを取り込み、苔と刈り込みが美しい。
境内は小野小町ゆかりの遺跡が数多く残されている。
写真は小町が使っていたという化粧井戸。境内南西にあり、澄んだ水が底の方に見える。境内東には小町の文塚や小町榧がある。
境内西には小野梅園があり、200本の遅咲きのはねずの梅があり、3月中旬頃に満開となる。はねずとは薄紅色の伝統色のことである。遅咲きのため、年によっては満開の桜と同時に楽しめることもある。
3月最終日曜日には小野小町を主題としたはねず踊りが催される。
我が輩の大好きなお寺で何度も通っているが、いつも人が少なくゆっくりと過ごすことができる。 所在地：山科区小野御霊町35 交通アクセス ※境内散策自由。建物内部拝観は大人500円。梅園は開園期は大人300円。
地下鉄 東西線「小野」から徒歩8分
京阪バス 2、22A、22B、24A系統「随心院」から徒歩1分
※駐車場あり