三条京阪の少し東、三条通り沿いに大衆居酒屋然とした店がある。それが今回ご紹介する伏見である。
かつて我が輩が社会人になりたての頃、お金が無い中遠慮がちに食べてたらおばちゃんから「兄ちゃん、一体何しに来てんのや、これ食べ!あれ食べ!」と凄い勢いで食べさせられた鮮烈な思い出がある。
だいたい三条京阪の立地にあって店名が伏見なんだからフツーではない。これは先代の店主が伏見出身の利き酒師で、軽い気持ちで伏見と名付けたらそれで名が通ってしまい、以来面倒くさいので伏見で通しているからとか。
店内はステンレスのカウンターのみで狭い。混み合うと後ろに人が立つ。その場合60分以内で退席するのがこの店のルールになっている。
古くからの常連客も多く、味にうるさい彼らをして「この店は何を食べても美味い」と言わしめる。
メニューは壁に掛かっているが、どんどん売り切れて裏返っていく様は、否が応でも食欲のボルテージが上がる。またおばちゃんの「今日はこれ食べな帰さへんで」「伊勢エビぐらいいっとこか?」というスピード感あふれる攻撃は、あっという間に目の前に料理が並ぶ破壊力がある。特にM系の人は大変危険である。
美味いのは当然としてもボリュームがあってとにかく安い。
写真の野菜天ぷらはこのボリュームで300円。生ビールは滅多に見かけない正味容量1リットルの正真正銘の大ジョッキ。奥の天然鯛の造りは弾力があり絶品の上、一口サイズがでかい。
さんざん飲んで時価メニューをたらふく食べて、普通の店なら諭吉1枚覚悟するところ、ここでは樋口一葉でお釣りが来る。
三条京阪でチェーンの居酒屋に行くのは、この店を覗いて満席で入れないことを確認してからでも遅くはあるまい。
メモ
所在地:東山区三条大橋東入ル2丁目76
定休日:日曜、日〜水曜の祝日
営業時間:17:00〜22:00
主なメニュー:野菜天ぷら 300円、加茂ナスの田楽 480円、カツオのたたき 980円、
あぶり穴子 600円、活きハモ 780円、どじょう鍋 980円など
TEL:075-751-7458
交通アクセス:地下鉄 東西線「三条京阪」より徒歩2分
京阪 本線「三条」より徒歩3分
市バス、京阪バス、京都バス 系統多数「三条京阪前」より徒歩3分