390 東東<ラーメン/洛西-桂>(京都市西京区)

 国道9号線沿い、阪急嵐山線の高架のそばに、東東というラーメン屋さんがある。

 周辺は古くからラーメン屋が多く、チェーン店は頻繁に出店や撤退があるが、そのような中この店は30年近く営業しており、独自のポジションを築いている。

 年季の入った赤いカウンターをはじめ、内装は年相応にヤレている。

 客は常連が多く、メニュー表も見ることなく注文している。が、古い店によくある、常連客と店主の馴れ合った会話がない。

 店主は一言もしゃべらず黙々と作業をこなす。客もひたすらラーメンをすすっている。

 よくある職人気質の頑固親父の店かと思っていた。だが、できあがったラーメンを差し出す刹那、強面の親父の顔がくしゃっと崩れて少年のような可愛い笑顔を見せてくれた。やられた!もう我が輩は常連客として落とされてしまったようだ。

 そう、常連客が無言なのも理解した。彼らはこの親父の一瞬の笑顔を見るために黙っているのだ。

 ラーメンは珍しいメニューの味噌中華。京風の白味噌仕立てである。緑の九条葱、白いもやし、赤い一味がアクセントとなり、見た目も美しい。

 スープはマイルドで甘口。最初塩分が足りないかなあと思っていたが、食べ進むにつれて印象が変わる。味の強いメンマがいいアクセントになり、無理なくスープを飲み干していた。

 過剰に主張しないが、気がついたら虜になる。やばい店である。


メモ

所在地:西京区上桂前田町9
定休日:月曜
TEL:075-392-5992
営業時間:11:30〜24:00
主なメニュー:中華そば 600円、味噌中華 650円、チャーシュー麺 700円、
       味噌チャーシュー 750円、ギョウザ 300円、スジ煮込 600円など
交通アクセス:阪急 嵐山線「上桂」から徒歩5分

※駐車場あり


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