銀閣寺道を歩く道すがら、景観に溶け込んだ町家がある。 銀閣寺道を歩く道すがら、景観に溶け込んだ町家がある。
草喰なかひがし（そうじきなかひがし）という名で、摘草（つみくさ）料理を極めた名店と言える。
至高の領域の食が体験できる店で、完全予約制で予約は電話のみ。予約可能時間が到来した瞬間電話が殺到し、満席となる。何度もチャレンジし、何とか昼の予約が取れた。ドキドキしながら来店する。
店内はL字のカウンター。それ以外は2階の小さな座敷のみという構成。主人の中東久雄氏を中心に若い料理人（弟子）が大勢いる。客数に対して料理人が多く、これだけで贅沢な気分になる。
中東氏は温和で腰が低く、女将さんからも「なかなかつながらない中電話していただいてありがとうございます」と予約客への気遣いもあり、ほっこりと居心地が良い。
中東氏は日々出身地の美山や花脊の山や畑で食材を見て回り、山野草を主体とした料理を提供する。食材と対話し食べられるものは全て食べ尽くすことが命を成仏させ、自然と共存し未来につながるというコンセプトを持っていらっしゃる。
まずは一皿目。これだけでも唸ってしまう。我が輩の4月の誕生日記念の来店だが、筍やホタルイカ、菜の花や季節の山野草が凝縮したした春の世界。味はもちろん素晴らしいが、五感全てが喜ぶ。
中東氏直接料理の解説があり、軽妙なトークや寒いだじゃれなどあり楽しい。どの皿も素材の成り立ちから調理、盛り付け全てに物語があり、生きとし生けるものへの畏敬が感じられる。通常は食材とならない間引き菜や草の花や種、はては根まで活かしきっている。そして、あくまでメインディッシュは炭火で炙っためざしと土鍋で炊いた飯。
高級和牛や大トロなんかを誇るよりもはるかに贅沢な食の体験。ほとんどの客が帰り際に次の予約を入れていた。なるほど、こりゃ予約が取れないわけだ。
メモ
所在地：左京区浄土寺石橋町32-3
定休日：月曜、月末火曜
TEL：075-752-3500
営業時間：12:00〜13:00（L.O.）、18:00〜19:00（L.O.）
主なメニュー（税込）：昼のコース 8,800円〜、夜のコース 22,000円〜
交通アクセス：京阪電鉄 京阪本線「出町柳」、叡山電車 叡山本線「出町柳」から徒歩22分
市バス 5、17、32、100、102、203、204系統、京都バス 18、56系統「銀閣寺道」から徒歩3分
※電話予約制。毎月1日の8時から翌月の予約受付