我が輩も人並みには海外旅行くらいは行くのであるが、日本人の買い物熱には辟易させられるのである。
アメリカでもヨーロッパでも、ハワイでもオーストラリアでもグアムでも（あれ、意外に海外旅行をしているなあ）そうだが、ブランド品を買い漁っている日本人（ほとんどが若い女だが）を見ると、情けなくなってくる。
このような人種は、何のために海外旅行をしているのか疑問に思うことがよくある。たしかに、海外ではあこがれのブランド品も安いかも知れない。しかし、たとえ数万円安く買い物をしてどうだというのだろう。少なくとも数万円（へたすりゃあ数十万円）もの旅費を使い、自由時間の多くを浪費して、安い買い物ができたと得意満面になっているのを見ると、おまえはアホかと言いたくなる。
現地の住民感情もよろしくない。アメリカで聞いた話だが、アメリカ人もよほどの金持ち以外は、高いブランド品は何年もかけてやっと一つ買いそろえて、人生をかけて夢を叶えていくものだという。ところがビバリーヒルズのショップに、コギャル上がりのケダモノメイクをしたねえちゃんがバーゲン品を漁るように買っていく光景は、現地人的には我慢ならないし、相当軽蔑しているらしい。
買い物に夢中になっている連中を考察すると、恐らく、貧弱な思考回路がショートして買わなきゃソンという気持ちになってパニックになっているのではないか。
我が輩なんかは、買い物をする時間なんかがあれば、公園の芝生で地元の人と同じように昼寝をしたり、ビーチでぼーっとしているといった、「何もしない」方がよほど価値があるし、贅沢なように思えるのである。
もっとも我が輩も買い物はする。学生時代の終わりにイタリアで、革細工の店で鞄を買った。確か当時のレートで3万円くらいだったと思う。ブランドでも何でもないが、革が分厚く、そのくせ柔らかく、すごく頑丈に縫製してあり、どこかイタリアっぽい雰囲気があって気に入っている。恐らく普通に使う分には一生涯持つであろう。
また、我が輩は背が高く、手足が長いので日本で服を買うのに苦労しているので、普段着用のジーンズやシャツはときどき買っている。
今時ブランド品なんて日本に居て買えないものはそう多くないだろうし、どうしても欲しくて使いたい（これが重要）ものだけに限定すべきである。
そこで我が輩の提案である。これからは、海外旅行で何も買わないことをスタイルにしようではないか。
あなたも海外旅行から帰ったら友人に言われるはずである。「何か買ったの？」。そこで涼しい顔で言ってみよう、「いいや、何にも買わなかったよ」。これからのスタイルである。カッコいいではないか。
あ、でも友人への土産は忘れないようにね。