先日、九州を旅行したのだが天候にも恵まれ、大変楽しい思いをした。が、カーナビについて感じることがあったのである。
空港でレンタカーを借りるとカーナビが付いていた。ダッシュボードの一番目立つ場所に鎮座しているので我々はそれをナビ様と崇め奉り、その教えに従うことに決めたのである。
しかしナビ様は我々に様々な試練を与え賜うたのである。
快適なバイパスや、拡張された国道には目もくれず、狭い旧国道や旧市街地に誘い我々に忍耐を強要したのである。のろのろと旧市街地を走っている横で、バイパスをさっそうと走っている車を我々は何度となく横目で眺めていたのである。
どういうわけかこのナビ様は工事中の道がお好みのようで、工事で片側通行の信号でよく足止めを食らったのものである。まあ3月下旬という公共工事も予算消化の時期ではあるが、それにしても多すぎる。
「300メートル先、銀行ヲ、ヒダリデス」などという大いなる教えも、あるはずの銀行やガソリンスタンドが影も形も無くなっているのでかえって混乱に拍車が掛かったりもした（お寺がそっくり無くなっているのにはびっくりしたもんだ）。
2日間はナビ様の教えを従順な子羊のように忠実に守ってきたのであるが、我々も3日目にはついに堪忍バッファの緒が切れて戒律を破り、自分たちで道を選択するようになったのである。
ナビ様もしたたかである。どう見てもこの道がいいと思っても画面にはその道そのものが表示されない。意を決してその道を走ると、なんと途中からパッとその道が現れるのである。
そんなこんなで3日間無事に旅行がすんだのであるが（最後にハプニングがあったが、詳しくは掲示板に書きました）、今気が付いたのは、走った道が頭に残っていないのである。ナビ様の教えに従うという姿勢は我が輩から思考能力を奪い、ドライブに自主性が無くなってしまうことに気が付いたのである。
そういえば、我が輩は昔から未知の土地をドライブするのが好きで抜け道を見つけては喜んだものである。その感動がないのである。ナビ様とのドライブは示されている道や建物を確認していくドライブに過ぎないのである。
将来、我が輩にもナビ様を車に迎える日が来るであろう。しかし、わが輩は道路選択の自由をナビ様に宣言し、決して使われないように精進することを誓うのである。
さて、あなたの車にはナビ様が奉ってあるだろうか。あるなら道路選択の自主権は自分で握るのですぞ。