さて、海外旅行に行った人は必ずと言っていいほど立ち寄る免税店。日本人ほど免税店が好きな人種はないであろう。どの免税店も日本人だらけである。
現地の免税店も日本人観光客は買い物に目がないことは知っているので、あの手この手で罠を仕掛けてくるのである。
その1。パックツアーなどで宿泊するホテルのテレビをつけてみよう。日本語のガイド番組があるはずである。金髪のハンサムな外人が日本人ギャルをエスコートするというお決まりのパターンの番組は、いきなり「さあ、何しようか。まずは買い物に行こう！」といって免税店やショッピングセンターを楽しそうに回るシーンが流される。我が輩なんかはぶっ飛んでしまうのである。
その2。特にリゾート地のツアーにあるのが無料のツアーである。だいたい半日で4〜5箇所くらいの定番のスポットを回るのだが、なぜか免税店も数件回るのである。しかも観光スポットは1箇所あたり10分くらいしか滞在せず（下車せず車窓から眺めるだけのことも多い）、免税店は1件あたり30分くらい時間を当てられる。それでも日本人は喜々として買い物にいそしむのである。
その3。免税店にタクシーで行くと、タクシー代を免税店が払ってくれたり、無料のショッピングバスが走っている。はっきりとした旅行の計画がない人は、現地に着くととりあえず無料のバスやタクシーで免税店に足を運んでしまう。
その4。旅行情報誌なんかにこういう広告がある。
「韓国での観光は□ッテ免税店から始まります（またしても意味のない伏せ字だ）
韓国旅行で観光もショッピングも思う存分楽しみたい。
だから私は迷わず□ッテ免税店に直行します。・・・」ここまで読んで「行くか！そんなもん」とツッコンでしまうのである。
などなど、挙げだしたらきりがない。上記の2や3の例は、いかに免税店が暴利をむさぼってるか冷静に考えれば分かるはずである。
はっきりいって日本人観光客はただの金づるとしか思われていない。鴨がブランド物のネギバッグをしょって、ご丁寧に糸こんにゃくカメラを首から下げ、懐から卵財布が顔を出し、両手に春菊買い物袋を下げてふらふら歩いているのである。まさにすきやきが歩いているようなものである。スリや詐欺のターゲットになるのも当然である。
で、免税店は安いのか？とんでもない、逆に高いケースの方が多いのである。
その1。ハワイやオーストラリアなどの土産の定番、マカダミアンナッツチョコは地元の人が利用するスーパーに行けば同等のものが免税店の半額以下で買える。
その2。洋酒なども免税で安いと思うだろうが、いまや日本の酒のディスカウントショップの方が安くなっていることが多い。
その3。革のベルトが50%オフとか、3つ買うと2つ分の値段になるとか派手なPOPが店内に並ぶが、本当のブランド物がこんな売り方をされることはあり得ない。その手の品は品質的には日本のディスカウントスーパーで買うのと大差ない（しかも日本の方が安い）。
その4。グアムなど本来ほとんど税金の掛からない地域でも派手に免税店が並んでいるが、どこで買っても免税である。でも日本人は免税店が安いと信じて買い物をする様は、ちょっと哀れにも見える（もっとも、現地のツアーの係員は絶対そんなことは言わない）。
とにかく、免税店で買えば得などとは夢にも思わない方がいいだろう。付けもしない化粧品や香水、飲みもしない洋酒など無理して買うことはない。必要な物を自分の目で判断して買い物をしていただきたいのである。特にブランド品なんかは出所のはっきりした信用のおける店で買っていただきたい。