最近、外食で食べるメニューに気が付くことがある。煮魚や炊き合わせなど比較的手間を掛けて作られたものを注文しているのである。
よく考えると、最近の家庭では作られないものばかりである。よく家族でショッピングセンターに行くのだが、そこのスーパーで買い物をするときも、多くが半完成品や冷凍食品になってきている。総菜を買って済ませることも時々ある。
別に、我が輩の妻が特別手抜きをしているわけではない。小さな子供の世話が大変だから構わないと考えている。
だが、現代の食卓に本来の家庭料理は急速に姿を消しつつあるのではないかと、危惧するのである。
例えばおせち料理は、休みのない主婦が正月くらいはゆっくりできるようにと縁起のよい食材に保存しやすい調理をほどこすものであるが、今やスーパーやデパートで買う若い主婦が増えている。
また、おばんざいは、京都の普段のおかずのことだから本来店で出すものではない。それが最近人気なのは、もはやおばんざいが家庭で作られていないことの何よりの証拠だろう。
世界に誇る日本の食文化が、その基盤が崩れているように感じるのは我が輩の思いこみだろうか。
いずれにしても、家庭料理を食べるために外食に出かけるという寂しい時代が訪れるのは間違いないようである。