112 トレーニングマシンの罠

 最近、家庭用のトレーニングマシンが売れているらしい。テレビショッピングや通信販売では定番の商品のようだが、我が輩は全く興味がない。あんな人工的な運動するなら普通に歩いたり走ったりすればいいのである。

 あんな分けの分からない機械の上で運動して、まるで車の中を走るネズミと同じではないか。しかもテレビに出てくるスリムなお姉ちゃんやマッチョなお兄ちゃんは決してあの商品を使ってああなったわけではないことは、リンゴが木から落ちるより明快なことである。

 が、ある日家に帰ると、そのトレーニングマシンが家にあるではないか。どうも妻が勝手に注文したようだ。なんでこんな物買ったんだと聞こうとした矢先、機制を制して我が輩の体脂肪率が健康診断ごとに確実に増え続けている事実を元にダイエット命令を突きつけられ、文句を言うことが出来なかったのである。

 まあ、一週間以内なら返品も出来るので送り返すつもりでいたのだが、せっかくトレーニングマシンがあるのだから一度その使用レポートを皆様にお伝えすることもこのサイトの義務であろうと考え、使ってみることにしたのである。

 どうも足踏み式のマシンのようで、マニュアルを見ると有酸素運動がどうだの全米何とか協会の推奨品だのインチキ臭い御託がたくさん書いてある。使用説明ビデオがあったので、それを見ながらやってみたのである。画面にはお約束の年齢不詳の金髪のお姉さんが満面の笑みで語りかける。

 最初はばかばかしかったが、テンポのいいリズムに乗せられ、不覚にも最後までワークアウトをしてしまったのである。10分少々の運動だったが、かなり疲れた。でもメーターの消費カロリーがわずか40Kcalと出ていて、こんなしんどい思いをしても大してダイエット効果が無いことがよく分かった。毎日運動するイメージが持てなかったので予定通り送り返そうと決めたのである。

 期日が迫ったので送り返そうと思ったのだが、あんな馬鹿でかくて重いものを再び梱包しようとすると一気にやる気が失せて結局送り返すことが出来なかった。なるほど、そもそも運動が続かない人間が几帳面に送り返すことなど出来ないことは、最初から業者の戦略だったのである。

 さて困った。せっかくだからもう少し使ってみるか。次は上級運動用のオプションでも注文してみようかな。


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