この国には血液型占いというのが異常に流行っている。この状況に我が輩は大変危機感を抱いている。
「君って血液型何型？へえーB型なの。じゃあ気分屋でマイペースなんだね」
このセリフ、もう2万回くらい聞いた気がする。何でそんなに単純に言い切れるのだ？さらにB型は「Bクラス」「B級」「レベルB」という二流、落第、不良を連想させる響き、ああいやだいやだ。血液型占いでのやられキャラはB型と相場が決まっている。
我が輩は楽天的でマイペースなのは認めるが、気分屋なんかではない。
我が輩を知る人は信じられないだろうが、若い頃はことごとく「A型」と言われていた。まじめで几帳面で自分で言うのも何だが模範的な生徒であった時期もあった。しかし、ことあるごとに「B型」の暗示を吹き込まれ徐々に世間の言う「B型」人間になってしまったのである。
実際A型の人が大人になって血液検査をして実はO型の間違いだと分かったら途端にアバウトな性格になったという話も聞いている。
AB型は二重人格？馬鹿言っちゃいけない。人間はそもそも二重人格である。それどころか三重四重なんて珍しくない。
テレビなんかでは都合のいい事例を取り上げてほとんどやらせの内容を垂れ流している。だいたい、こんな血眼になって騒ぐのは日本だけだし、未だに科学的に証明されてもいない。もちろん血液型が性格に影響を与える要素は皆無ではないだろう。しかし、遺伝要因や後天的な環境要因に比べればそんなもの誤差の範囲であると言える。
そもそも血液型で人間を分類して、性格を決めつけたり相性を判定したりするのは自らコミュニケーション能力が無いと言っているようなものである。人の性格や感性なんてものすごく幅広い。性格の違いに比べたら外見なんてそっくりと言って良いくらいである。
我が輩がいい加減で整理整頓が苦手なのは、作られた性格だからである。そう、我が輩は悪くない。断じて悪くないのである。