さて、携帯音楽プレーヤーで社会現象と化したiPodだが、ご多分に漏れず我が輩も所有している。使ってみるとappleらしい卓越したデザイン、操作性で馬鹿売れするのもよく分かる。
それまでの携帯プレーヤーは人に見せるような代物でなく、こっそりリモコンで操作するものだが、iPodは堂々と見せびらかして使えるくらいデザインに力を感じる。
ポケットに数千曲持ち歩けるiPodは我が輩の音楽ライフを劇的に変えた。外で音楽を聴くということは全くやらない我が輩が出張のお供に連れて行くようになった。
そんな我が輩のマイブームは桂枝雀（かつらしじゃく）である。今は故人であるが上方落語で名を馳せる名人である。きっかけは中学生の時で、おじいちゃんが聞いていたことに影響を受けて、夜寝るときにラジカセで聴いていたものである。
その懐かしい落語を数十話、iPodに入れて聴いている。
落語というものはシナリオや台詞はあらかじめ決まっている。何度も繰り返し聞いているから完全に話が頭に入っているのだが、名人とは凄いもので「言うぞ、言うぞ、ほら言った」と笑ってしまうのである。まさにプロの芸である。
が、困ったことがある。電車に乗って聴きながら悦に入っているのだが、ふと我に返ると周りの奇異な視線にさらされることになる。あちゃー、こりゃまた失礼いたしました。名人の芸も痛し痒しである。