ビジネスでも学術系でもプレゼンテーションの場で、スライドソフトを使うことが当たり前のようになってきた。このパワーポイントやキーノートに代表されるソフトウェアには豊富なテンプレートが用意されており、手順に従って入力していけば立派な資料が出来る。
従って内容のないプレゼンテーションでも一応の格好はつく。
この手の演出は凝り出すときりがない。パワーポイントおたくのような人が結構いるようだ。先日、あるプレゼンの会場で、隣の人が「あんな切り替え機能があったんだ！あのアニメーションは使えるよな」と講演内容でなくソフトの機能を論じているのを聞いてたまげたものである。
形があるから仕事をしたような気になるし、体裁も繕えるから「プレゼンテーション準備=資料作成」というふうになっている。
資料を度外視すると発言内容は政治家や役人の答弁のような退屈な人も多い。ほとんど用意した資料の読み合わせなのである。これに付き合わされるのは災難だ。これなら資料を配付するだけで十分である。本来の提案力は上がりもしないのに、この過剰装飾症候群によって日本経済全体に莫大なロスが出ているに違いない。
プレゼンテーションでこういうソフトを禁止したらおもしろいのでは無かろうか。
我が輩はひねくれ者なのでこの手のソフトはほとんど使わない。とにかく省くことが可能なものはとことん省いて、これ以上削れないところまで削って資料を作るので、大抵A4用紙1枚か数枚のものである。
これは手抜きではない。そう、断じて手抜きではないのである。