208 不況の最中の贅沢の勧め

 昨年の秋のアメリカのサブプライムローンの過熱を発端とした金融危機を引き金に、世界中が「百年に一度」と言われる大不況に見舞われている。

 関係ない人は関係ないのだろうが、電気や自動車産業をはじめ国内の根幹産業が深刻な業績悪化に見舞われ、たくさんの失業者が発生しているのは周知の通りである。我が輩の仕事も大きな影響を受けているのである。

 これだけの不況なのでレジャー産業も深刻だ。京都のように観光客が落ち込んでいない地区でもホテルの大半は赤字だ。出張の時に感じるのが、ホテルの安いこと。

 地方だとビジネスホテルと変わらない値段で温泉旅館が朝夕二食付でネット上で売り出されている。これは非常にありがたいことではある。しかし、平日とはいえ客が数名という体験を何度もした。これはいくら何でも経営が持たないだろうなあと感じるのである。

 先日、ついに恐れていたことがあった。宿泊客が我が輩1人なのである。わずか6,500円ほどの料金で、夕食は豪華な和食膳が付き、大浴場は全くの貸し切り、朝ご飯も上品な箱膳でとてもこんな値段で提供できるモノではない。

 たった一人のためにフロントや支配人、厨房や仲居さんをはじめ裏方の方々がサービスしてくれたと思うと、王侯貴族のようである。贅沢な気分に浸れるのだが何かあまりに申し訳なくて落ち着かないのである。もし我が輩が予約を入れなければこの豪華なリゾートホテルは休めたのではないか、と。

 まあ、そのホテルはプールやテニスコート、ミニゴルフ場を抱えており、真冬は一面枯れ木と銀世界なので完全なシーズンオフで営業すること自体無謀なのだが、たまたま無線LAN設備があり、仕事にも支障がないと考え、ネット上でポチッと予約を入れたのである。

 皆さんも可能であれば平日に旅行をしていただきたい。とても安く贅沢なホテル・旅館が目白押しである。ただ、一人になっても知りませんけど。


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