659　霊鑑寺（京都市左京区）

　哲学の道の東、鹿ヶ谷の谷筋に大きなお寺がある。霊鑑寺という尼門跡寺院である。安楽寺（京都裏道案内171）の南隣に位置する。

　もともと江戸時代初期の持明院基子の住居であったが、後水尾天皇（上皇）によって徐々に寺院化され、承応3年（1654年）に正式に霊鑑寺となり、以後5人の皇女が入山した。

　通称「谷御所」、椿の寺とも言われ、普段は非公開。春と秋の年2回に特別公開される。今回ご紹介するのは春の特別公開のもの。

　表門をくぐると前庭。苔の地面が一面ピンクに染まっている。これは椿の花の絨毯。凄い密度だ。

　庭園は大小あるが、メインは書院南の池泉庭園。池泉式だが今は水は無く石橋や滝組等の遺構が残る。

　高低差のある敷地に多彩な植栽、灯籠、建物がある。
　本堂（写真）は中には入れないが、本尊は平安時代の如意輪観音像。書院は雪舟、狩野派、丸山応挙の障壁画が並ぶ。

　本堂、書院、玄関、表門、鎮守社は京都市指定文化財。

　訪れたのが4月初頭であったため、桜も満開で緑の苔の絨毯に花びらが映える。

　春は椿が目立つが、秋も紅葉の名所と言われる。秋の特別拝観も良いかもしれない。

　玄関では障壁画が公開されていたが、それよりも椿の設えが豪華で目を奪われる。

　時期が合えば、訪れることを強くお勧めする。

所在地：左京区鹿ヶ谷御所ノ段町12

交通アクセス
市バス　5、17、27、32、93、203、204系統「錦林車庫前」から徒歩8分
市バス　32系統「大徳寺前」から徒歩6分

※拝観料：春と秋の特別拝観は大人800円

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