今回ご紹介するのは泉涌寺そばにある、塔頭寺院の善能寺（ぜんのうじ）というお寺である。京都裏道案内233 来迎院（東山）の向かい側に位置する。 今回ご紹介するのは泉涌寺そばにある、塔頭寺院の善能寺（ぜんのうじ）というお寺である。京都裏道案内233 来迎院（東山）の向かい側に位置する。
もともとは平安時代初頭の大同元年（806年）に空海が東寺の東に稲荷大明神を祀って建立し、平城天皇の勅願寺となった。次の嵯峨天皇の代に聖観音が本尊になり、二階堂とも称される。
室町時代の天文14年（1545年）に後嵯峨天皇の勅命でまたは天文20年か24年（1551年・1555年）に後奈良天皇の勅命で泉涌寺の塔頭寺院になったという。
境内は無人であり、無料で拝観できる。
境内奥に聖観世音菩薩（平安時代作の客仏）を祀る本堂がある。祥空殿と呼ばれる。
昭和46年（1971年）に北海道で東亜国内航空のYS-11ばんだい号が墜落し、乗員乗客68名全員死亡するという痛ましい事故が起きた。犠牲者の中に善能寺ゆかりの人がいたことから遺族の寄進により昭和47年（1972年）に建立された。
本堂周辺は庭園になっており、遊仙苑と呼ばれ、これは重森三令が作庭したもの。
苔の築山があるが、雲紋築山と呼ばれ、雲とも飛行機とも見える造形だ。作庭当初は白砂であったが、今では苔が覆っている。
大きな阿波の青石をたくさん組んだ石橋や立石は迫力がある。秋は紅葉が被さり独特の美しさ。
残念なのは枯れ池になっていること。本来は池泉鑑賞式庭園なので水は張って欲しいところだ。
山門そばの三尊石組。俳人荻原井泉水が詠んだ慰霊の歌が刻まれている。
苔が大分覆っており、文字はかなり読みにくい。この石組も重森三令による。
境内に稲荷神石社が立つ。空海が祀った日本最初の稲荷大明神で善能寺の移転とともにここに祀られている。
ほとんど人は来ないが、A級の穴場と言っていいだろう。本当に静かで心の洗われるスポットである。
所在地：東山区泉涌寺山内町34
交通アクセス
JR奈良線「東福寺」、京阪電鉄 京阪本線「東福寺」からそれぞれ徒歩14分
市バス 202、207、208系統「泉涌寺道」から徒歩9分
※境内自由
※駐車場あり