かなり以前、分かりやすいプレゼンテーションのジャパネットたかたの話題を書いたが、今回は大変落胆している。
何気なくテレビを見ていたら久しぶりにあのテレビショッピングが始まった。今回はどんなプレゼンテーションが出るのか楽しみにしたのである。
しかし、そこで我が輩は愕然としたのである。キヤノンの入門用のデジタル一眼レフカメラを取り上げていたが、純正レンズの「Wズームキット」とあった。これは、メーカーからも「Wズームキット」という名称で発売されており、安価な2本のレンズがセットされており、広角域から望遠まで手軽に撮影できるようになっている。名前が同じだから当然そう思った。
よく見るとどうも違う。画面にレンズの焦点距離「28-90mm」「90-300mm」の表示が一瞬写ったが、目を疑った。
これは銀塩カメラ用の初心者用レンズである。これを普通の（APS-Cサイズ）デジタル一眼に装着すると、換算でおよそ「45-144mm」「144-480mm」となり、通常最も使う28-35mmあたりの広角域がすっぽりと抜け落ちて極めて使いにくい組み合わせとなる。
だからキヤノンが用意する本物の「Wズームキット」はデジタル向けの「18-55mm」「55-200mm」のレンズでこれなら換算でおよそ「29-88mm」「88-320mm」になり、銀塩カメラ時代と変わらない使い勝手になる。
しかし、ジャパネットたかたはこの重要な説明は（意図的に）一切していなかった。一眼レフ初心者ならまず分からない。こんなものを買ったら多くの人は後悔するだろう。
この銀塩カメラ用の廉価版「28-90」「90-300」レンズはデジタル時代の今は全く売れないレンズである。キヤノンとしても早く在庫を処分したかったのだろう。そこにジャパネットたかたが乗った形で「Wズームキット」と名付けて売り出したのと推察するが、ユーザーの無知につけ込んだ、詐欺とまでは言わないが非常に不誠実なやり方である。
既に広角レンズを保有している人や（初心者なら滅多にないが）、広角撮影は絶対やらないという奇特な人以外には絶対に勧められない組み合わせである。
いつからこの会社はこうなったのだろうか。もうこの会社が勧める商品は信用できなくなったのである。